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電気室に必要な消火設備は?火災を防ぐための空調・換気対策


電気室とは、工場の生産設備を稼働させるための配電設備や通信設備、制御盤などの電気設備が格納された建屋です。大きな工場になると主電気室と補助電気室に分かれる場合もあります。



電気室に設置されている主な設備


配電盤



配電盤とは、発電所から供給される6,600kVから77,000kVもの高電圧を工場で利用できるよう降圧してAC100VやAC200Vに変圧しています。感電や停電防止のために、高電圧源への接触、小動物の侵入、屋外利用による風雨の影響を防止するため金属の筐体で覆われているものが主流でこれはキュービクル(正式にはキュービクル式高圧受電設備)と言われています。


分電盤



分電盤とは、配電盤から供給された電気を各フロアのコンセントや照明設備、生産設備など様々な設備に分配する役割があります。また、安全に電気を供給するために漏電ブレーカーを設けています。よく誤解されますが、変圧機能はありません。


制御盤



制御盤とは工場で利用される機械や装置を動かすモータやポンプ、ヒーターなどを操作し、異常時には非常停止して制御する盤のことです。盤の中にはシーケンサーや各装置類の変換器などが並び、盤の扉には指示計や電源・警報ランプ、スイッチなどが並んでいる場合が多いです。


電気室は重量のある盤を複数設置したり天井に配線トレイを通すことから堅牢な作りになっています。 また、電気機器は自らが発する熱の影響で誤動作や故障しないように室内の温度を下げる必要があります。 更には、汚れた空気で長年使用すると溜まった埃が湿気を帯びてショートの原因となり機器の故障や火災につながる可能性もあります。(これをトラッキング現象と言います。) これらを防止するため室温調整や清浄機能を持つ空調設備の設置は必須です。 これだけの設備ですから火災の際の損害は甚大です。そのため火災を考慮した消防設備の設置も欠かせません。

 

 


火災感知器の種類と原理


火災の影響を最小限に抑えるには早期発見が重要で、その役割を担うのが火災感知器です。

火災感知器にはいくつかの種類があり、場面に応じて使い分けます。その種類と原理は次の通りです。

 

方式 熱感知方式 熱感知方式 煙感知方式 炎感知方式
差動式スポット型感知器 定温式スポット型感知器 光電式スポット型感知器

紫外線又は赤外線式

スポット型感知器

原理

装置内の温度が上昇する

ことで急な空気の膨張を

感知して火災を知らせま

す。

 

装置周辺の温度が一定の

温度を超えたときに感知

して火災を知らせます。

 

 

装置内には光の発光部と

受光部が配置され、そこに

煙が侵入すると光が乱反射

されその光を受光すること

で感知します。

紫外線センサや赤外線センサ

を内蔵し、火災の時に炎

から発せられる紫外線や

赤外線を一定量受光する

ことで感知します。

※ご利用の際は消防法に従い選定・設置してください。

 

 


火災の初期は煙が発生し、その後可燃物に引火して熱を発生、その後炎となって周囲に広がります。早期発見を考慮するなら、煙感知式がベターです。但し、現場環境は工場によってさまざまです。ご利用の際は消防法に従い選定してください。

尚、いずれも天井につけることから、建屋の空間が広い場合には感知器が捉えるまでに時間を要してしまう可能性があります。その間、火災は電気配線ケーブルを伝わり隣接する盤へ燃え広がる可能性がります。火災が広がってしまえば長期間設備を復旧出来ず生産ができません。そして納入先の企業へも迷惑をかけてしまうことになるので被害は甚大です。

このように感知器を設置していれば安心というものでもありません。もっと早い段階で火災の芽を摘むことをが重要です。


電気火災に対応した消火器の種類と特長



モノが燃焼するには次の3つの要因が重なります。
① 可燃物がある
② 酸素(空気)がある
③ 点火源(火種)がある

これに更に可燃物が次々と供給されるような環境にあると燃焼現象が連鎖し大規模な火災へと発展します。
逆に言えばどれか一つでもなくなれば火災には至りません。
消火活動はこの3つの条件のどれかを排除する作業と言えます。消火器の消火剤は可燃物に撒くことで冷却や酸欠状態にすることで消化します。
消火器にも種類がありますので特長を纏めました。


消火器の種類


消火器の種類

水消火器

強化液消火器

ハロン消火器

二酸化炭素消火器

粉末消火器

特徴

水と圧縮空気又は窒素ガスにより、可燃物を冷却し消化します。水が浸透しやすい布団などには特に効果的です。

但し、油火災や電気火災への使用は厳禁です。油は水により燃え広がり、電気設備は漏電や健全な電気設備が水で使用できなくなるためです。

 

 

アルカリ性の炭酸カリウム水溶液を使用した消火器で、可燃物を冷却して消化します。水火災と違うのは油脂を不燃化させることができるため油火災にも有効ということです。

但し、電気火災への適用は水消火器と同様に厳禁です。

 

 

 

ハロンガスを放射することで低酸素状態を作り消化します。また、化学連鎖反応を中断する効果もあります。ダブルで効果が発揮できます。電気火災に有効です

但し、油火災には向きません。いったん酸欠状態になり消化できたように見えても熱が下がっていなければ酸素濃度が戻ると再燃する可能性がります。

 

二酸化炭素(ガス)を放射することで低酸素状態を作り消化します。ハロンガス同様消火性能が高く、消火後の汚損がありません

但し、二酸化炭素は人が吸い込むと死亡事故になりかねません。そのため密閉空間での利用は避けなければなりません

 

 

粉末を放射して酸素供給を遮断することで消化します。粉末には重炭素ナトリウムやリン酸アンモニウムが利用されています。万能性があり最も普及しているタイプです。

但し、可燃材の深部まで熱が浸透していた場合は再燃する恐れがあります。

 

 

電気火災への有効性 × ×

 


しかし、これだけ整えていても、電気室での火災が大きくなることがあります。
一つには火災感知器の反応が遅れてしまう場合があるからかもしれません。

火災の初期は煙が発生し、その後可燃物に引火して熱を発生、その後炎となって周囲に広がります。早期発見を考慮するなら、煙感知式がベターです。但し、現場環境は工場によってさまざまです。窓の少ない締め切った場所であれば煙は流れてこないでしょうから熱感知式や炎感知式の方が良い場合もあります。ご利用の際は消防法に従い選定してください。

尚、いずれも天井につけることから、建屋の空間が広い場合には感知器が捉えるまでに時間を要してしまう可能性があります。その間、火災は電気配線ケーブルを伝わり隣接する盤へ燃え広がる可能性がります。火災が広がってしまえば長期間設備を復旧出来ず生産ができません。そして納入先の企業へも迷惑をかけてしまうことになるので被害は甚大です。

このように感知器を設置していれば安心というものでもありません。もっと早い段階で火災の芽を摘むことができればそれに越したことはありません。


電気室の火災の原因と主な対策


こちらのグラフは電気火災の原因を表しています。


参照元:電気設備学会誌より

電気火災の原因には様々ありますが、その中でも多いのが約30%を占める「短絡」です。
この短絡を引き起こす要因の一つにトラッキング現象があります。電圧のかかる部分に溜まった埃などが湿度を帯びることが原因です。

対策として埃や粉塵が盤内に侵入しないように盤にフィルターを設けたり、定期的な清掃活動の実施が考えられます。
しかし、フィルターの劣化に気づかずいつの間にか埃や粉塵が侵入していることもあります。
また、最適な清掃頻度が見つけにくかったり、人によって点検するところが異なるなどせっかく実施しても見落とす危険もあります。


プラスアルファの対策で火災の芽を摘みましょう


そこで盤内の粉塵濃度の連続監視のご提案です。
盤内に漂う浮遊微小粒子を常時監視すれば、フィルターの劣化や破れなどによる埃や粉塵の侵入にいち早く気づくことができます。
それには次のようなメリットがあります。

・大事に至る前に対策を打つことがでる

・早期発見なので清掃の手間がかからない

施策後の効果の確認ができる

浮遊微小粒子の監視は埃や粉塵によるトラッキング現象の回避に繋がります


マツシマメジャテックではこのように空間の浮遊微小粒子を連続監視するセンサ『エアパーティクルモニタ』を取り扱っています。



< 製品案内 >
    粉塵計 エアパーティクルモニタ    



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