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地域脱炭素ロードマップとは?



地域脱炭素ロードマップとは、2050年までに脱炭素社会を実現するために、国と地方が協働・共創しながら展開していく過程を示す行程表です。

これは約30年後の話ではなく、すぐに行動しなければ達成することのできない大きな目標です。
日本はこの実現に向けて実行性が試されており、国際社会にどう評価されるかが決まります。
そんな大きな危機感の元、脱炭素社会を実現するために国と地方の協働・共創を目指し「国・地方脱炭素現実会議」が開催されました。



出典:環境省サイト「2050年カーボンニュートラル実現にむけた環境省の取り組みについて


ゼロカーボンを目指す自治体は1年で4倍増(2020年12月時点)ですが、日本は化石燃料を海外から輸入しているため、実際には9割の自治体でエネルギー収支が赤字です。しかし、日本の地方には再生可能エネルギーを実現するための土壌が非常に豊富で実はポテンシャルが高いのにいくつかの問題があるため活用が進んでいない現実があります。この強みを生かして再生可能エネルギーの地産地消を強化すれば、収支の黒字化とゼロカーボンを同時に実現できます。そこで「国・地方脱炭素現実会議」では、国と地方が協力して、2050年までに脱炭素社会と持続可能で強靭な活力ある地域社会を実現するためのに「地域脱炭素ロードマップ」が策定されました。
その狙いは<strong>地域課題を解決し、地域の魅力と質を向上させる地方創生に貢献すること</strong>です。

参考サイト:内閣府サイトより https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/datsutanso/index.html


地域脱炭素ロードマップの全体像


こちらは地域脱炭素ロードマップの対策・施策の全体像です。大きく3つで構成されています。



出典:内閣官房 国・地方脱炭素実現会議 第3回 (https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/datsutanso/dai3/gijisidai.html

1. 最初の5年(2025年まで)に政策を総動員し、人材・技術・情報・資金を積極的に支援する。

取組1:脱炭素先行地域を築く。(先行モデルを作る。)

国(環境省)が支援しながら地方自治体・地元企業・金融機関が中心となり、100カ所以上の脱炭素先行地域で先行的に取り組みます。地域課題の解決、住民の暮らしの質の向上を実現しながら脱炭素に向かう取組の方向性を示していきます。

 

1)削減レベルの必要条件

各地域の特性に合わせた効果的な手法で民生部門(家庭部門及び業務その他部門)、運輸部門、熱利用部門などの電力消費に伴うCO2排出実質ゼロを目指す。国全体の2030年度削減目標と整合するよう2025年度までに道筋を作り、2030年度までに実現する。

 

2)削減レベルを満たす取組内容

地域特性や気候風土に応じて以下の様々な対策を適切に組み合わせて実行する。

① 再生可能エネルギーポテンシャルの最大活用による追加導入

② 住宅・建築物の省エネ・再エネ導入及び蓄電池等として活用可能なEV/PHEV/FCVの活用

③ 再生可能エネルギー熱や未利用熱、カーボンニュートラル燃料の利用

④ 地域特性に応じたデジタル技術も活用した脱炭素化の取組

⑤ 資源循環の高度化(循環経済への移行)

⑥ CO2排出実質ゼロの電気・熱・燃料の融通

⑦ 地域の自然資源等を生かした吸収源対策等

 

取組2:全国で実施する脱炭素の基盤となる8つの重点対策

① 屋根置きなど自家消費型の太陽光発電

② 地域共生・地域裨益型再エネの立地

③ 公共施設など業務ビル等における徹底した省エネと再エネ電気調達と更新や改修時のZEB化誘導

④ 住宅・建築物の省エネ性能等の向上

⑤ ゼロカーボン・ドライブ(再エネ×EV/PHEV/FCV)

⑥ 資源循環の高度化を通じた循環経済への移行

⑦ コンパクト・プラス・ネットワーク等による脱炭素型まちづくり

⑧ 食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立

※国はガイドライン策定や積極的支援メカニズムにより協力する。

2. 3つの基盤的施策を実施する。

1) 地域の実施体制構築と国の積極支援のメカニズム構築(継続的・包括的支援)

地方自治体・金融機関・中核企業などが主体となって体制を構築し、地域の課題解決に役立つ脱炭素化事業や政策を実行します。 また、地方支分支局が地方環境事務所を中心に水平連携し、各地域の強み・課題・ニーズを丁寧に吸い上げ機動的に支援を実施します。2025年までの集中期間で脱炭素への移行に繋がる取り組みの加速化を目指し、人材、情報・技術、資金の面から積極的、継続的かつ包括的に支援する枠組みを構築します。

※地方支分支局:経済産業局、農政局、森林管理局などの行政機関の地方出先機関

 

2) ライフスタイルイノベーション

地域住民に再生可能エネルギーや脱炭素に有効な製品やサービスを積極的に利用してもらうために、食品のカロリー表示のようにCO2排出量を見える化することで分かりやすくし、更にCO2削減ポイントや知識の普及拡大で利用のきっかけを作って後押しします。

 

3) 制度改革

地方自治体、金融機関、中核企業などの様々な主体がかかわることで地域の脱炭素化には時間がかかりがちです。そのため対策を全体的に広め実効性を確保するためにも制度改革を実施していきます。

 

3. 先行モデルを全国展開し、2050年を待たずに脱炭素社会を達成する。(脱炭素ドミノ)

エネルギー需要密度の低い離島や農山漁村、街区などを中心に再エネルギーなどで2030年までに脱炭素モデルケースをできるだけ多く作ったら、次はこれを地域間連携やイノベーション技術・システム実装により全国に普及させ脱炭素を完遂するシナリオになっています。


ロードマップが対象とする主要分野


これはロードマップの対象分野の外縁を示し、地域のエネルギーや資源の地産地消から始まる8つの分野になります。
分野・組織の垣根を超えて横断的に対策・施策を検討していくことが前提です。

①地域のエネルギーや資源の地産地消

地域企業や自治体等が主体となり、省エネと併せて地元の自然資源を活用して地域・環境と共生した再エネ電気や熱、水素等をつくり利用します。収益は地域内に循環させ、地域の課題解決(見守り・防災・インフラ更新等)に活用します。地域間でも再エネ融通、 食品や衣服などモノやサービスの循環利用を含め、持続可能な形で生産・消費できるようにします。

②住まい


全ての地域住民が当事者となる住まいで、断熱・気密の向上や省エネ・再エネ・蓄エネ(電動車との接続含む)、高効率設備・機器の導入に取り組み、デジタル技術による最適運用で、脱炭素化を実現(ZEH)。健康で快適な暮らしを享受し、蓄エネにより防災性能も向上させます。





③まちづくり・地域交通


各地の人口動態などの特徴に応じ、都市機能の集約やグリーンインフラ、Eco-DRR(生態系を活用した防災・減災)など脱炭素型のまちづくりを進めつつ、再エネ電源で動くLRT/BRT、燃料電池鉄道車両などの公共交通や電動車カーシェア、自転車インフラ、デジタル技術を活用した新たなモビリティなど、脱炭素型の地域交通を整備し、地域住民の利用を促進します。



④公共施設をはじめとする建築物・設備


画像:環境省 ゼブ・ポータルより

高度成長期に整備され老朽化の進む庁舎などの公共施設を更新・改修の機会に2050年まで供用することを想定して省創蓄エネ設備を導入し脱炭素化する。(ZEB) 公用車には電動車を導入し、災害時に蓄エネを利用。公共施設周辺の建築物とも連携し、地域の中心区域全体の脱炭素を先導する。




⑤生活衛生インフラ(上下水道・ごみ処理など)


上下水道やごみ処理などの生活インフラで、未利用エネの活用や再エネの導入、さらなる高効率化を実施。地域の多様な条件に応じて、2050年まで供用することを想定した施設を広域化・統合、分散化(集落単位の整備)。汚泥や廃棄物等の生成物をエネルギーとして地域内で利用する。


⑥農山漁村・里山里海


豊富な再エネの活用(木質・畜産由来バイオマス、営農型太陽光発電等)、スマート農林水産業や農林業機械・漁船の電化、吸収源対策(農地炭素貯留、間伐や再造林、建築物への木材利用、藻場・干潟の造成・再生・保全等)を実施。湿原・サンゴを含む生態系の再生や鳥獣害抑制につなげ、自然共生も実現。2050年までに食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現する。


⑦働き方、社会参加


テレワークや二地域居住、副業など多様な働き方・住まい方の広がりを積極的に活用し、都市住民による地方の再エネ事業等への参加を促進。新しい生活様式の中で価値の高まる余暇について、国立公園等をモデルに、観光拠点の施設を脱炭素化し、脱炭素型ツアーを提供する。




⑧地域の脱炭素を支える各分野共通の基盤・仕組み


自治体、国の支分部局、地元企業、金融機関等の関係主体がプラットフォームを通じてつながり、ニーズ(課題)とシーズ(知見・資源)をマッチング。脱炭素を担う人材の育成・確保や、地域のESG金融を通じた脱炭素投資(域内経済循環)につなげる。これらはデジタルトランスフォーメーション(DX)を基盤として行う。また、行政が、公共調達・契約等から率先実行する。

出典:環境省 「地域脱炭素ロードマップ策定の趣旨・目的について」より(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/datsutanso/dai1/siryou2-1.pdf



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