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リチウムイオン電池 (二次電池)とは?製造工程の問題点・原料ロスを防ぐ方法


リチウムイオンバッテリー

リチウムイオンバッテリー


1.リチウムイオン電池(二次電池)とは


リチウムイオン電池の用途

リチウムイオン電池の用途


充電できて何度も繰り返し利用できる電池のことを二次電池といいます。その中でもリチウムイオン二次電池は、最もエネルギー密度が高いため小型で大容量を実現した電池です。正極材と負極材の間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を何度も行うことができます。因みに、充電ができない使い切りタイプの電池を一次電池といい、乾電池などがそれにあたります。
リチウムイオン二次電池の正極材、負極材、電解水の材料は用途やメーカーによって様々で、代表的な構成は、正極にリチウム遷移金属複合酸化物、負極に炭素材料、電解水に有機溶媒などの非水電解質が使用されています。

社会への貢献・影響
リチウムイオン二次電池は携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ・ビデオ、携帯用音楽プレイヤーを始め幅広い電子・電気機器に搭載されています。
小型で軽量なリチウムイオン電池を搭載することで電子・電気機器の利便性は大いに増大し、迅速で正確な情報伝達とそれにともなう安全性の向上・生産性の向上・生活の質的改善などに多大な貢献をしています。
また、リチウムイオン電池は、エコカーや畜電池電車などの交通機関の動力源として実用化も進んでいます。

リチウムイオン電池は、使い切りタイプの一次電池と違い、充電と放電を繰り返すことができることがリチウムイオン電池(二次電池)の大きな特徴としてあげられます。
使いきっても充電すればふたたび使用可能な二次電池は、電子・電気機器をはじめ非常用の蓄電池など多くの場面で活用されています。


二次電池の種類と特長

蓄電池

 メリット:安定性に非常に優れており、価格が比較的安い
 デメリット:使用頻度に比例して徐々に性能が低下していき、寿命が短い
 用途:自動車用バッテリー、バックアップ電源用電池など

ニッケル電池

 メリット:エネルギー密度が高く、過充電・過放電に強い
 デメリット:自然放電量が大きく、使わなくても電気容量が減ってしまう
 用途:電動工具、非常用電源など

 リチウムイオン電池 

 メリット:蓄電池の中でもエネルギー密度が⾼く、小型化が可能なことに加えて、寿命が比較的⻑い 
 デメリット:鉛蓄電池に比べると価格が高い
 用途:ポータブル電子機器、ハイブリッドカー用途など

ナトリウム硫黄電池

 メリット:300℃程度の高温で動作する蓄電池。鉛蓄電池に比べ、1/3程度コンパクト。
     自己放電がなく、充放電効率が高い
 用途:大規模電力貯蔵


 

直近5年の電池の生産量は、一次電池と二次電池の生産個数の割合は約6:4で一時電池の方が多くなっています。
二次電池だけではとニッケル水素電池とリチウムイオン電池で約100%をしめ、割合は3:7でリチウムイオン電池の方が多いです。

総額では、一次電池と二次電池の割合は約1:9で二次電池が多く、全体を通してもリチウムイオン電池が全体の半分の割合を占めています。
これは、スマートフォン等のモバイルのバッテリーやハイブリッド車への普及がやはり大きいと思われます。

 

 


2.リチウムイオン電池の材料とは?


リチウムイオン電池の製造における材料は主に、正極活物質、負極活物質、電解水、セパレータが主要材料です。

リチウムイオン電池の内部で、リチウムイオンが電解水を介して正極~負極間を行き来することで充放電が行われます。
正極材料には、一般的にコバルト、ニッケル、マンガンの単一または複合の金属酸化物やリン酸鉄系の材料が使用されます。
負極材料には、炭素系材料(黒鉛)や合金系の材料が使用されます。


3.リチウムイオン電池に使われる材料の埋蔵量は?


充電することで繰り返し利用できるリチウムイオン電池は、携帯電話やモバイル機器、パソコン、ハイブリッド車への使用と今後も需要が広がり続くと思われます。
リチウムイオン電池の生産量に対して原料は足りているのか主要の材料に着目して確認します。
 


引用元:https://www.nirs.qst.go.jp/db/anzendb/NORMDB/PDF/36.pdf

コバルト

コバルト


1)正極材

【コバルト】
世界の埋蔵量:約 700 万トン
国別の埋蔵量:コンゴ(49%)、オーストラリア(20%)、キューバ(14%)、ザンビア(3.9%)
世界のコバルト鉱石の生産量:1999 年には 25,700 トンであったが 2007 年には 62,300 トンに増加した。これは、中国、日本を中心とした全世界的なリチウムイオン二次電池需要の好調を反映し増加してきた。


ニッケル

ニッケル


【ニッケル】
世界の埋蔵量:約8,900万トン(年間およそ200万トンが採掘)
国別の埋蔵量:インドネシア、フィリピン、ブラジル、キューバ、ニューカレドニア
これらの鉱床や鉱山は主に赤道付近の地域にあり、このタイプの鉱床からの生産量はこの数十年年で確実に増加しています。硫化鉱の鉱床は南アフリカ、ロシアとカナダにあります。
オーストラリアは硫化鉱とラテライト鉱の両方の鉱床に恵まれています。
 


【マンガン】
世界の埋蔵量:約 4 億 6 千万トン
国別の埋蔵量:ウクライナ(30%)、南アフリカ(22%)、オーストラリア(14%)、インド(12.2%)、ガボン(4.3%)
国別の生産量:南アフリカ(20%)、オーストラリアマンガン鉱(19%)、中国(14%)、ガボン(13%)、ブラジル(8.6%)、ウクライナ(7.1%)、インド(5.6%)
日本においては、多数のマンガン鉱山があったが、昭和 61 年を最後に生産を停止した。主要な鉱山としては、岩手県の野田玉川鉱山、北海道の大江鉱山、上国鉱山、稲倉石鉱山、石崎鉱山、長野県の浜横川鉱山が挙げられる。
 


2)負極材

負極材料は、炭素材料が中心となっており、天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン、MCMB(メソフェーズ小球体)などが需要の中心です。

負極に炭素材料を用いるメリット
①炭素材料がリチウムを吸蔵するため、金属リチウムは本質的に電池中に存在しないので安全
②リチウムの吸蔵量が多く高容量が得られる


負極材料(負極活物質)は、2018年における世界生産量が約20万トンで、販売金額が約2,300億円と見込まれる。
負極材料には、グラファイト(黒鉛)、ハードカーボン、ソフトカーボン、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、合金系などが流通している。
現在の負極材料市場の約9割はグラファイト系材料で構成され、モバイル機器の他、車載や定置用などのほぼ全ての用途で使用されているが、電池用途の多様化に伴い、様々な負極材料が開発されている。
負極材料は、電池のエネルギー密度と出力特性、サイクル特性の他,温度特性や安全性などの重要なパラメータに大きな影響を及ぼす。

グラファイト系材料は、天然黒鉛と人造黒鉛に分類できます。天然黒鉛は、採掘された天然黒鉛鉱石(石墨)を粉砕し、浮遊選鉱後フッ酸処理を行って黒鉛純度を高めることで製造される。
人造黒鉛は、原材料としてピッチやタールなどを混ぜたコークスを2,800~3,600°Cで焼成することで製造される。
販売価格帯としては、天然黒鉛粉末が500~1,000円/kg,人造黒鉛粉末が1,000~2,000円/kgであり、天然黒鉛の方が安価となる。
天然黒鉛は、歪な粒子が多く含まれ、充電時に電解液が分解されやすいため、電池の不可逆容量が大きくなる。そのため、天然黒鉛の表面に耐分解性に優れた人造黒鉛を被覆造粒して対策がなされている。
グラファイトは、エネルギー密度、サイクル特性、出力特性などのバランスに優れた材料ではあるが、低温環境や高温環境では、安定した動作がしにくいという欠点があるため、電池の温度管理が重要になる。
 


黒鉛

黒鉛


4.リチウムイオン電池の製造工程における問題点


リチウムイオン生産ラインの除塵対策として、集塵機が多く使用されています。

しかし、某メーカーの工場では、集塵機のろ布交換後の設置ミスや劣化などで全工場の集塵機からは
毎月9トン以上もの原料が回収されず漏れていました。
会社にとっては約2700万円/月の損失計算になり、更に大気汚染の問題にもつながりました。
 
その問題の解決事例はこちら↓↓



 二次電池正極材製造工程での原料ロス削減
バグフィルタ(集塵機)からの漏れ量傾向監視における予知保全 

 


 


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